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プロフィール
HN:
秋本 勇
性別:
非公開
職業:
事務・設計
趣味:
ひたすら読書
自己紹介:
はたして事務なのか、はたして設計なのか?!
よく分からない状況の中で働きつつ、したためた小説をここで紹介しています。
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「さよなら……」

その一言が痛くて苦しかったころからだいぶ時間が過ぎて、私たちは笑顔でまた再会できるくらいになった。

「彼女できた?」
「いや、まだできとらん」
「そ」
「お前は彼氏できた?」
「私もできとらん」
「ふぅん」
「会うたびその話しかしとらんし」
「あはは」
彼は就職して、私は大学四年生になって、どちらもそこそこ友達を作ってよくやっている。別れてすぐは顔を合わせるのも嫌だったはずなのに、二十歳になって初の同窓会で再会して、酔って意気投合して二人で泥酔して、そのまま何もないまま今に至る。
でも、不思議ともう一度付き合ってみようとは思わない距離。

「気になる人はいるよ」
彼はにこっと笑ってあさっての方向を向きながら言った。彼の照れ隠しのときによく使う手だった。
「同じ職場の人?」
「そ。事務やっとる人」
「ほー。どんな人?」
「うーん……俺たちよりひとつ下やけど、しっかりしとるよ。覚えも早いし、可愛い」
「へぇ。告白の成功率は何パー?」
「さぁなぁ……彼氏がおるかも訊いとらんし」
「なんじゃそりゃ」
「俺らしないて?」
「うん」
あはは、と笑う声が夕方の空に消える。彼が自転車を押して歩く姿は、付き合っていたころより少したくましく成長している。その横を歩く私は、あのころから何か変わっているのかな、と思う。
「まぁ、お前が頑張ってー言うてくれたら、訊いてみよ」
「はぁ?なんで」
「なんやかんや言って、お前の後押しが一番効くから」
「しゃぁない男」
ぱん、と肩をたたいて豪快に笑い飛ばしてから、
「頑張れ」
と親指を立てて見せると、彼は笑って、
「おう」
と同じようにぐっと親指を立てて見せた。

私たちの恋は、思い出の彼方で綺麗に浄化されて、戻ってきた。
最高の友人として、再会するために。
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